TOA 大佐夢 「恋人の法則」

恋人の法則



「恋人って、何すればいいのかな」
 あまりに唐突過ぎる発言に、珍しくジェイドは目を大きくして
「どうしました? 熱でもあるのですか?」
心配そうに手を私の額の方へと伸ばしてくる。違うもん、とその大きな手を振り払い、
「真剣に悩んでるんだよ」
むっすりとした私の声。

ぼふり。

 ベッドに背中から倒れ込んで、明るい天井を見上げる。眩しいはずの世界はいつの間に滲んだのか、やんわりとした明るさに変わっていた。

目が回りそう。
恋なんて、大っ嫌い。

 溢れる前に涙を掬い取ってくれたのは彼の指で。その感触が心地よい。吐いたせいかいくらか心が軽くなり、熱っぽかった頭がだんだんと冷めてくる。
「……大佐」
「はい」
「なんか、突然ごめんなさい」
 ベッドに腰掛けている彼の背を転がったままで盗み見る。

広い背中。
私の大好きな彼の背は、手を伸ばせばすぐそこにある。

でも、とためらうのは私の理性。
私の手など、届かないのはわかっているから。

無意識に伸ばしかけていた手を慌てて引っ込めた。


「――わからないんですよ、私にも」
「え?」

 何が、と心の中だけで問うが、ゆっくりと振り向いた彼は答えを教えてはくれない。その代わりに、苦笑という名の、笑顔。

そして――

伸びてきた彼の優しい手は私の髪をくしゃと撫でる。
なんの、ためらいもなく――

望む事を、許してくれるのだろうか
触れる事を――?


嬉しかったんだ
だって、私は――




「大佐にもわからないものがあるんですね」

どんな魔法をかけたの?
貴方の手は
貴方の声は

貴方の笑顔は――



あぁ、なんてずるい笑顔だろう

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