オリジナル、その他小話

あおの境界線(オリジナル小話)

Cocolog_oekaki_2016_09_13_21_57
あお に 融ける。。

****
境界の滲んだトコロに住む色が、私はすきだ。
いろんなコトを許してくれる、とてもやさしい色だから。

あそこにはキミも居てさ、
それで私も居るんだよ。

ぼやけた輪郭がわらう。

(それはボクじゃないよ)
(だってボクは、そんなにぼやけちゃいないからね)

遠くで滲んだ声がする。
そっかぁ、と私もわらう。

滲んでてよく分からなかった。
 (滲ませて、分からない様にしてた)

じゃあせめて、さよならくらいは言わせてよ。
滲んだ声でも、届くでしょう?

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やどかりのだっそう。(オリジナル小話)

ぼくのいえ。
この背中にある、ちいさな愛しいぼくのいえ。

…はて?

これが「ぼくのいえ」だと
いつから錯覚していただろうか。

「いえ」とは総じて愛しいものだと
いつから錯覚していただろうか。

そんなことをぼんやり考えるうちに
暇そうに欠伸をしながら、沈む太陽はみえなくなった。

その晩ぼくは、そぉっと
「いえ」を置いて逃げ出した。
脱走しよう、思い立って。

全てが錯覚で済まされてしまうのはかなしかった。
そこにあるはずの、ほんの少しのホンモノが隠されて見えない今
一秒でも早くぼくは逃げ出さねばならなかった。
ホンモノを護る為の。脱走だった。

静かな月のよく見える場所で眠ると
おさない時の懐かしい夢をみて
すぐに目が覚めた。

目をつぶると、浮かんでくるのは見知った顔ばかりで
でもその中にいくつかもやがかかったものもあって
ぼくはすぐに、また目を開けるはめになった。

ながれぼしみたいな、きらきらした涙がこぼれた様だった。
誰かが願いをかけてくれたらいいのに、そんな我儘な想いを抱きながら
ようやくぼくは眠りについた。


翌朝。
目を覚ますと、「いえ」はいつもと変わりなくぼくの背中にのっていた。
不安も安心も孕んだその重みに、ぼくは小さく息をついて。

「ただいま」

ぼくはどこにも脱走できないままに。
「愛しいぼくのいえ」へと、帰宅するのだ。

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白雪姫は毒リンゴがお好き (オリジナル小話・未完)

「死にそうなくらいクソマズイですわ」
 そう吐き捨て、とてもこの世のモノとは思えない程に端正な顔を歪めた少女は、それでも鏡の認めた“この世で一番美しい”とされる姫であった。

 白雪姫は毒リンゴがお好き


「ただいまー」
「あぁー疲れたー!」
「お帰りなさいませ小人の皆さん」
 机の上にお皿を並べていた白雪姫が顔を上げる。1番に部屋に入ってきたご機嫌そうな小人が逸早く部屋の隅の赤い山に気づき、声を上げた。
「あー…白雪、またリンゴ届いたの?」
「見ての通りですわ。――まぁ、あまりにマズ過ぎてとても食べれたものじゃありませんでしたけれど」
 勿体無いので折角だから置いていって頂きましたの、と姫は細い指で順番にフォークを並べていく。山の上の方の一つを摘みあげて眺めていた別の小人が目を丸くした。
「え。なに、もう“毒見”しちゃったってこと」
「だって、美味しかったら定期的に持ってきて頂きたいでしょう? “味見”しなければ美味しいかどうかわかりませんもの」
 しれっという彼女の言葉に、小人の一人が額に青筋を浮かべふるふると震え、
「この尼…いい加減その癖なんとかしろよなァ!? 自分の立場わかってんのかてめェは!」
怒鳴ると、欠伸をしながらふにゃりと席につき机につっぷした小人も
「そうですよー姫ー。いつか本当に死んじゃいますよー」
そうのんびりと続け、1秒としないうちにぐぅと寝息を立て出す。食器を全て並べ終えた少女はぱんぱんと大きく手を叩いた。
「大好きなもので死ねるのであれば、それこそ本望というものですわ」
「…もうその辺にして、ごはんにしようよ……」
 もじもじと言ったのは、最後から2番目に入ってきた小人。
「ひーめー今日の夕飯なぁにぃ?」
「リンゴの天ぷらと、アップルパイ…それから……」
「おい……シメて良いか良いよな許されるよな」
 ばきばき指を鳴らす小人の肩をぽんぽんと叩いたのは、最後に入ってきた眼鏡の小人である。
「まぁまぁ、落ちつきなさいね。…ところで白雪、料理に使ったリンゴだけど」
「普通の、至極つまらない、毒が入っていないものに決まっていますでしょう? あれはわたくし専用ですから。文句があるなら食べなくて結構」
「…いっそ誰かはやく毒殺してくれって……」
「まーいいじゃない。リンゴ料理に関しては姫の右に出るものはいないんだからさ♪」
「じゃあほら皆、手は洗ったかな? 料理盛り付けるの手伝おうね」
「あっ、わたくしのは青い鍋のやつですからね!」
「おっけぇー了解だよ姫~」
「つまみ食いしたら許しませんわよ!」
「間違っても誰もしねェから安心しろ」


***

「…何? 失敗しただと?」
「はい……あ、いえ、正確には、確かに毒リンゴは食べたのですが、不味くて食えないと1つしか食べてもらえなくて」
「ちょっと待て。……えっ? 食べたんだよな?」
「え? はい、それはもう勢い良くもしゃもしゃしゃくしゃくと」
「……で?」
「で……って、不味いからもういいって言って、ある分は置いて帰れと僕を追い返しました」
 男は苛立った様子でお抱えの魔法薬師の胸倉を掴む。
「お前、適当なこと言ってんじゃねぇぞ?」
「えー、本当のことですもーん」
「毒リンゴを丸々1個食ってどうにもならないなんてことあるか! 失敗した口実をでっちあげてんじゃねぇのか!? あ!?」

「いいえ、彼の言っていることは確かです」
「!」

 威厳を纏い、どこか重々しい空気をかもし出す熟女がきっぱりと言い放つと、男はようやくその手を離した。
「……どうしてわかる」
「わたしの鏡がそう言っているから。…それに、貴方の選んだ毒のチョイスは、はっきり言ってナンセンス、あの娘じゃなくても好まないと思うわ?」
「恐れながら王子、僕もそう思います」
 僕でも食べたいとは思いませんと薬師がぼそりと呟くと、あら貴方わかってるわねと女も笑う。一人話に取り残された男は――白雪姫の美貌の噂を聞きつけた、とある国の王子であった――訳もわからぬ屈辱感に肩をわななかす。
「王子、残念ですけど貴方にあのお方は落とせません。諦めて国に帰りましょう」
「な……っ! もう一度、チャンスをくれねーか!?」
 女は首を振った。
「約束したはずですよ、1度きりだと」
「王子、しつこい男はもてませんよ。大丈夫、貴方は黙ってさえいればイイ男ですから」
 普通の女性なら好きなだけ引っかけられますよ、僕が保証しますと薬師はひょいと男の襟首を摘むと簡単に引っ張っていってしまう。
「王妃様、しばらくお世話になりました。お役に立てず申し訳ない」
「いいえ、こちらこそ遠いところをわざわざ有難う」
「……見つかるといいですねぇ、姫の“王子”」
 女は曖昧に小さく笑っただけだった。

***

 一瞬、洗い物の手が完全にフリーズした白雪姫は
「――――っくしょいん!!」
「おぉ…大丈夫ー? かぜひーた?」
すん、と鼻をすする。
「ううん…多分、ですけれど、噂でもされてるんでしょう。あのクソばばに」
「王妃様もよく懲りねぇな。何年越しの毒殺計画なんだか」
「ここまで毒に耐性がついた人間を毒殺するのは中々に難しいでしょうねぇ」
 姫は憂いの表情で、ほぅと息をつく。
「最近は、ブレンドの類が多いのですけれど……「単品毒が一通り効かなかったからね」正直味が複雑になり過ぎて、イマイチですのよね」
「姫、お言葉だけど、誰も美味しく食べて貰おうと思って毒リンゴ調合してないと思うよ?」
「それはそうでしょうけど……やはり真の毒リンゴと言うものは、味まで完璧にして初めて成り立つものと思いますわ! クソマズイ毒リンゴなど、毒リンゴの風上にもおけな「お前その辺にしてそろそろ黙れよクソ尼」」

***************

…ていう、こんな感じの毒リンゴマニアな白雪姫のお話が書きたいと
ずっと思っているのよね~(-◇-*)
つーか小人7人もいらないww じゃまくさいんだけど←

042hime

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歪な標本 (オリジナル小話)

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とおい昔、
“海”の記憶をあたしにくれたヒトがいた。

(しずめて、しずめて はるか彼方)
(それはいつしか あたしの“空”になった)

月が欲しいと願う頃には
ナミダもきっと枯れ果てて
乾いて乾いて仕方ない

やがてあたしも枯れ果てて
得体のしれないナマエつけられて
標本にされて

できあがった、

小さなミイラ。

(それは、“あたし”と呼ぶにも ”あなた”と呼ぶにも)
(少しばかり、歪過ぎるカタチをしていた)


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キミに会えれば。 (オリジナル小話)

元気なキミも、沈んでるキミも
キミはキミじゃない。

だから、いいんだよ。

キミは「こんな自分じゃ誰にも会えない」って言うかもしれないけどさ?

わたしも、あの子も
キミに会えることが嬉しいんだよ。

それがどんなキミでもね、
「キミ」に会えることが嬉しいんだよ。。。

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(嘘だと思うなら呼んでみてよ)
(きっと会いに行くからさ、キミに。。)

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ヤマアラシのジレンマ (オリジナル小話)

「抱きしめたい程に好きなのに、傷つけてしまいそうで、こわいのです」
 大きな身体を小さく竦めて言う彼は、長々と息をついた。ボクは、ふぅん、と首を傾げる。
「あなたになら、分かってもらえるんじゃないかと思って」
「どうして」
「それは――だって、“ジレンマ”という奴ですよ?」
 言いたいことは分かった。だから、そんなに鼻息を荒げて近寄らないで欲しいと思う。
「キミが、ミジンコのお嬢さんに対して“ジレンマ”を抱えていることはよく分かるけど。生憎、ボク達ヤマアラシはジレンマを克服した生き物でね」
「えっ、そうなんですか?」
 それを聞くと、彼はとてもがっかりとした様だった。

 次に訪れた彼女もまた、“ジレンマ”を抱えていた。
「私が触れるとヤケドしてしまうらしいの」
 だから触れないし、手も繋げないという彼女は、河と同じ色をした爪をきらきらさせている。その爪先から泡でも出てきそうな雰囲気だったので、「キレイだね」と言うと「彼の好きな色なんだ」と微笑んでくれた。
「思わず触れてしまいそうになったことも、何度かあったんだ。彼は、触ってもいいよって、言ってくれるんだけど」
「なら、触っちゃえばいいじゃない」
 うーん、と彼女は困り顔で
「それが簡単に出来れば、ここにも来ないのだけどね」

***

「人間なんて、余程ヤマアラシよりもジレンマ抱えているよね」
 ぶっきらぼうなボクの言い方に一瞬だけキョトンとして、少女はゲラゲラと笑いだした。
「そうかもね」
「いい加減、ヤマアラシはとっくにジレンマなんてもの克服したって知って欲しいよ。ていうかさ、ボクに言わせれば人間のジレンマをヤマアラシに押し付けんなって感じなんだよね!」
「そんなにイヤなの、ジレンマ」
「ヤって程じゃないけどさ」
 じゃあ何がそんなに不服なのかしらと面白そうに目を細めると、少女は少しだけ大人びて見える。
 膝の上の温かさにボクは段々とうとうとしてきて、あくびをひとつ、かみ殺した。
「――私は、そういうの羨ましい」
「どうして?」
「大事にしているんだなって分かるから」
 少女が緩やかに身体を丸める。ボクの針のいくつかが、彼女のやわらかな部分に浅く刺さった。
「それって、ボクにジレンマがないことがヤなのかい?」
 そうは言ってないわ、詰まった様なかたい呼吸が辛うじて言葉を紡ぐ。
「私もあなたと同じだもの。でも、あなたに話に来た人達の気持ちも、よく分かるんだ」

 初めて少女に出会った時のことを、ボクはよく覚えている。
『痛みがないと、眠れないの』
 そう言った彼女は、泣けない代わりに仕方なく笑っている様だった。それがもう、悲しいくらいにクセの様になってしまっているのがよく分かったから、ボクは彼女の“寝床”となることに決めた。

「――さっきの話」
「うん?」
「ジレンマがなくてイヤなのかって、奴だけど。私は、自分が大事にされてること分かってるし、あなたの針はとても優しいから、全然問題なんてないのよ」
 ちらっと見上げると、少女はもうすぐ眠ってしまう様だった。身体の中の、もっと深い処にある“何か”に刺さったボクの針は、――確かに“何か”に刺さりはするのだが、それが何なのか、ボクにもまだ分からないんだ――彼女曰く“とても優しい”と言うが。
「…そんなコト言うのは、後にも先にもキミくらいだからなぁ」
「ふふ、どうだろうね?」
 触れるだけの軽いキス。
「おやすみなさい」
「おやすみ」

***

例えばボクが。

『彼女がぐっすり眠っているこの瞬間、何かの拍子で誤って、この針で刺殺してしまったなら。』?

叶えたい望み、欲望と
それによって失われるモノ、被るコトを天秤にかけて――
傾くことを恐れるのは「理性」。それと「本能」が擦れて、生じる摩擦が所謂「ジレンマ」と云う奴なのだろう。

(――出来ないってことは所詮、それだけのもんだったって、コトだろう?)

ならば初めから天秤なんぞにかけてやらなければいいのだ。
どちらも得る覚悟で、丸ごと受け止めてしまえばいいのだ。
その覚悟があれば、ジレンマなんてきっと生まれない。――ボクや彼女の様にね。
“ヤマアラシ”は、そうやってジレンマを克服したんだとボクは聞いている。

それは、ただ単にボクらが不器用なだけなのかもしれない。
もっと他に、甘い蜜だけを吸える方法はあるのかもしれない。

けれど、そこにこそ「代償を払う価値」を見出してしまうからには――
時折痛みに歪む、その表情の愛しさに――


「…やめられないんだよなぁ。……あ、これがジレンマか」

(ボクが見る夢はいつだって甘美だ)
(キミはそのコト、知ってるの?)


『ヤマアラシのジレンマ』

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からまわり (オリジナル小話)

からからまわり
からまわり

からからからから 音たてて
乾いた道を 転がって

どこへゆこう、
どこへゆく?


からから乾いた喉が鳴る
あげてしまった空水筒
「いらないから」と捨てられない


からからまわり
からまわり

あめの降らないカラ道を
「もうすぐだから」と転がって
からから雲に嗤われる

もうすぐだって、
どこだって?


からからまわり
からまわり

どんなにからまわったって
どこにもたどりつけなくて


(からからなるのはこころの空洞)
(からっぽだから)

(よく響く。。)

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手 (オリジナル小話)

おかえり。

そんな言葉が口をついて出た。

昔、あたしの手に居て離れていったものが
またここに戻ってきたっていう、それだけで。

不思議と、懐かしい心地がするの。

まるで、ずっと失くしていた「あたし」の一部みたい。


(そうしたらね、愛せる気がするのよ)
(ぼろぼろな皮をまとった小さい手)
(何かに誰かに触ることも躊躇ってしまうような)
(醜くて、みっともない手)

みたい、じゃなくて、きっとあたしの「一部」だった。

(また居なくなってしまうのが、少し寂しいくらいに、、)

(これがあたしの、「手」なのだった)

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色眼鏡 (オリジナル小話)

“好きな人”
イイトコロしか見えないなぁ

“嫌いな人”は
どこもかしこもヤナトコロにしてしまう

まるで
眼鏡をかけたままお風呂に入ってしまって
視界がくもって初めて、
「眼鏡」の存在に気付いた時のように

歪みきったせかいを
「裸眼」なのだと錯覚することは
多分、よくあるはなし。

色眼鏡、便利で不便。
見たい部分だけ見せてくれる優しさに (ただし歪んでいる)、
余計なトコまで勝手に付け加えて行くお節介 (ただし以下略)

誰の断りもなくいつの間にか
勝手にわたしの中に潜り込んでる

一度それを通して見たら最後
色濃くインプットされた歪みの世界が
たちまち現実と成り替わって――

ああそうしてまた、
せかいはすこしずつ
歪んで行くのね。。

今日はもう、アイマスクをして何も見ずに寝るわ。
濃い色の刺激に
どこもかしこも、すっかり疲れてしまったから



眼鏡を外して
おやすみなさい。。。

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冬の庭 (オリジナル小話)

あぁそうか、箱庭の君は
楔を打たれて眠っているんだね

息をする苦しい音に
僕はそっと寄り添っていれば良いのかな

(そんなことしか、僕にはできないのだけれど)

イツマデが鳴けば
「まあだだよ」、心が返す

庭の外には春が近づいてくる気配があるのに
君はやっぱり、動けない

僕の足と心をあげれば
君は自由になれるの?

それなら好きなだけ持っていくといい
僕なら、現地調達で大丈夫だからね

ねぇ君の瞼、そんなに重いのかい?
僕の想いも、思いも、君にかかると重みに変わる

もう寒い冬の雪も飽きてきたね
心の芯から風邪をひきそうだ

吐いた息が目の前で凍って落ちるのを
ひとり「さびしいな」と笑った

(君が生きている証だけ、)
(それだけが、今の僕を温めてくれる)

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